ローグライクゲームを面白くするための3つの心得 目次

ローグライクゲームを面白くするための3つの心得 3/3

第3回のこの記事では、
「達成できると期待させる」ためにできるいろいろな方法を紹介します。

第1回から読んでない方は、第1回から読むことをお勧めします。
ローグライクゲームを面白くするための3つの心得 目次

①たまに幸運が訪れる

「たまに、リスクリターンの状況が訪れる」「たまに、宝箱から強力な武器が出る」とかです。

つまり、
「運によるバラつき」のコントラスト

「(目に見えて分かる)プレイヤーの強化」(又は「進捗」)のコントラスト
をセットで使うということです。

また、これによって、いわゆる「射幸心」(運に期待して、苦労せずにクリアできると期待すること)で続させることもできます。

前述の通り、リスクリターンは、勝手にコントラストが生じるので、
「(目に見えて分かる)プレイヤーの強化」のコントラストとしては、リスクリターンにすることが多いでしょう。
(なので、「たまに、リスクリターンの機会が訪れる」という風になりがち。)

『Dead Cells』(2018)

②なぜ失敗したのかを分かりやすくする

なぜ失敗したのかが分かりやすいと、「次はそこを改善することでクリアできるはずだ!」と思ってもらいやすくなるでしょう。

失敗を分かりやすくするには、次のような方法が考えられます。

  • 失敗時に、長めのヒットストップをかける・スローにする
  • 失敗の原因を言葉で伝えてあげる
  • 難易度にコントラストをつける(=プレイヤーを殺しにかかるポイントを作る)

など

『Enter the Gungeon』(2016)

③進捗率を見せる

進捗率・進捗ゲージがあることで、ゴールまで到達するイメージができるようになります。
逆に、これがないと、「いつになったらゴールなの?」「このゲーム、本当に終わりがあるの?」となってしまうかもしれません。

また、ゲームオーバー時に進捗率を見せることで、自分の成長がより分かり、次回はもっと先まで進めるようになると期待させることに繋がるでしょう。

『Nuclear Throne』(2015)

④「死んでも引き継がれる要素」を作る

「死んでも引き継がれる要素」といっても、いろんなものがあるかとは思いますが、大きく分けると次の2種類です。

  1. 難易度が下がる要素
  2. ストーリーの進展・新しい展開・新しい機能の解放

※①と②が重複していることも少なくありません。

「①難易度が下がる要素」

例えば、Dead Cellsでは、道中で「セル」というアイテムが手に入ります。
パーマデスなので、死ぬと、上がったステータス、手に入れた武器はもちろん、「セル」も失ってしまいます。
しかし、特定の場所にいる収集者に「セル」を渡すことで、武器のアンロックやプレイヤーの能力の底上げなどができるのですが、それらは死んでも引き継がれます。

『Dead Cells』(2018)

これによって、いつかは達成できると期待させ続ける効果があります。
また、(クリアする気もなく雑にプレイしても、)「時間を無駄にした!」と感じにくくなります。

これらは非常にありがたい効果なのですが、この「①難易度が下がる要素」を好まない人もいます。
それは「①難易度が下がる要素」を入れることで、次のような性質がついてしまうためでしょう。

  • 最初に挑んで失敗したときと同じ難易度で再挑戦させてくれない
  • 自分のスキルの上達でクリアできたのか、難易度が下がったからクリアできたのかが曖昧

これらが許せる人と許せない人は分かれるでしょう。
なので、「①難易度が下がる要素」は一長一短だと言えます。

ローグライト

ちなみに、このような「死んでも引き継がれる要素」(特に「①難易度が下がる要素」)があるローグライクゲームは、ライトな(簡単な、易しい)ローグライクということからか、「ローグライト」と呼ばれることもあります。

「②新しい機能の解放・ストーリーの進展・新しい展開」

これは、クリアまでの難易度は変わらないけど、プレイを続けることで進展する別の何かがあるようにしておくというものです。
クリアとは別の動機で、遊び手にゲームを続けさせることに貢献します。

例えば、Nuclear Throneというゲームには、
プレイを続けることで、キャラクターがアンロックされていく要素があります。

『Nuclear Throne』(2015)

Eyesというキャラクターは、2-1まで到達することがアンロックの条件です。

キャラクターごとに使えるスキルが異なるので、これを「①難易度が下がる要素」と捉えることもできるかもしれません。
このように①と②が重複していることも少なくないでしょう。

参考動画

www.youtube.com

この動画では、「ローグライク」と「ローグライト」の違いや、それぞれの長所と短所などについて言及しています。
(日本語字幕あり)
参考になるかと思ったので、紹介してみました。

余談:錯覚の達成感

「ローグライト」のゲームに限らず、レベルの概念がある「RPG」などでもいえるのですが、
「錯覚の達成感」ってある気がするのです。

最初に挑んだ時は、レベルなどが足りずに失敗し、
レベルを上げることで、クリアできたとしましょう。
この時、(遊び手のスキルが一切上がっていなかったとしても、)まるで自分のスキルが上がったことでクリアできたと錯覚し、喜んでいる時ってあると思うんです。

で、(良くも悪くも)この錯覚ができるかどうかって、人によると思うんですよね。
「自分のスキルの上達でクリアできたのか、難易度が下がったからクリアできたのかが曖昧だから嫌だ!」と思う人もいれば、素直に「自分のスキルが上達してクリアできたぜ!」といって楽しめる人もいるでしょう。

(ちなみに、個人的には、どちらかといえば「ローグライク」の方が好きですが、引継ぎ要素が「わずかに難易度が下がるぐらい」なら、「ローグライト」も全然許容できるって感じです。)

自分のゲームではどのように「達成できると期待させるためのあれこれ」を適用したか

それでは、「Rebel -反逆のゴブリン-」という私が以前に作成したローグライクゲームで、これらをどこに適用したかについて簡単に紹介します。

①「強力な強化のコマンド」及び「キングゴブリンの出現」

コントラスト」の回でも紹介しましたが、
これらが、「たまに幸運が訪れる」に当たります。

これらが「きっと達成できる!」「まだワンチャンある!」「こんどこそはクリアできる!」といった期待に大きく貢献しているかと思います。

②ダメージを受けたときの長めのヒットストップ

これによって、失敗の原因が何だったかを気づきやすくなっているはずです。

③ゲームオーバー時に、進捗率を見せる

ゲームオーバー時に、進捗率を見せています。
(フロアが変わるたびに進捗率(or進捗ゲージ)を表示させた方がよかったかもしれませんが、これは手間がかかるという理由で実装を諦めました。)



「達成できると期待させる」については以上です。

軽くおさらい

もう一度、軽くおさらいしておきましょう。

3つの心得

  1. コントラスト」をつける
  2. 「リスクリターン」の機会を与える
  3. 「達成できると期待させる」ためのあれこれ

でした。

余談:ところで、基礎となるルール・メカニクスについては?

今回の記事では、ゲームの基礎となるメカニクスについては言及しておらず、いわばそのメカニクスを包んでいる外側の部分の話をしてきました。

基礎となるメカニクスには、Dead Cellsのような2Dのサイドビューアクション、Nuclear Throneのようなトップダウンシューター、風来のシレンのようなトップダウンでターン制など、様々です。
Slay the Spireのように、カードゲームとローグライクを組み合わせたようなゲームなんてのもあります。
また、武器の種類、インベントリの種類、プレイヤーができるアクションなど、いろんな箇所でオリジナリティが出せるかと思います。

しかし、ローグライクの外側の部分に関しては、この記事で紹介した3つの心得は常に適用されるべきだと思ってます。
私の知る限り、よくできたローグライクゲームのほとんどは、この3つの心得が守らています。

もちろん、その適用の仕方でオリジナリティを出すことはできるかと思います。
例えば、同じリスクリターンでも、「道中に任意で挑める強敵がいて、倒すと多くの報酬を落とす」などのよくありがちな方法から、Dead Cellsのような「呪われた宝箱」のような斬新な方法など、いろんな適用の手段が考えられるでしょう。

最後に

本文は以上です。

上手く伝わる内容になっているかどうかは不安ですが、とりあえず投稿してみました。
質問、感想などあれば、気軽にコメントしてください。
私の開発するゲームに興味を持ってくれた方は、Twitterのフォローなどもお願いします。
(スローペースですがゲーム開発してます)
https://twitter.com/wadajun_

ローグライクゲームを面白くするための3つの心得 2/3

第2回のこの記事では、
「リスクリターン」についてです。

第1回から読んでない方は、第1回から読むことをお勧めします。
ローグライクゲームを面白くするための3つの心得 目次

「リスクリターン」とは

「リスクリターン」「リスクとリターン」「リスクとリワード」などといった言葉は、ゲームの面白さを説明しようとするときによく耳にする言葉かと思います。

www.youtube.com

概ねこれらの意味と同じではありますが、
私は「リスクリターン」という言葉を次のように定義して使っております。

【リスクリターン】
遊び手の意志で、リスクに向かってリターンを得る挑戦

「遊び手の意志で」

また、
「遊び手の意志で」
というところも大事だと思ってます。

つまり、
危険を冒さないという選択もできるのだが、任意で(=遊び手の意志で)危険を冒させる
としてほしい。

では、任意ではなく、強制的だとどうなるか。
任意ではなく、強制的に大きなリスクに向かわせると、なぜだか楽しさが下がるんですよね。
あと、それで突然ゲームオーバーにさせられると、遊び手は不満を感じます。
おそらくこれは、失敗を覚悟させる前にゲームオーバーにさせられるから不満を感じるんだと思います。
一方で、自分の意志で挑んだなら、挑む前に失敗を覚悟しているので、失敗しても許せるんですよね。

具体例

前回、「リスクリターン」の例として、マリオのBダッシュの例を1つ紹介しましたが、
更に3つほど具体例を紹介します。

ウィッチタイム(ベヨネッタ

ベヨネッタ』(2009)

これは、敵の攻撃をギリギリで回避することで発動し、一定時間自分以外がスローになり、攻撃のチャンスが訪れるというものです。
「パリィ・カウンター」の一種ですね。

ただし、こういう「パリィ・カウンター」系は、それをする理由・動機がないとあまり使ってもらえない気がします。
例えば、ベヨネッタでは、パリィを使ってスピーディに敵を倒すことが、リザルト画面で高い評価を得ることに繋がります。

呪われた宝箱(Dead Cells)

『Dead Cells』(2018)

道中でたまに見つかるのが、この「呪われた宝箱」。
呪われた宝箱を開けると、たくさんの報酬が手に入る代わりに、プレイヤーは「呪い」という状態異常になります。

「呪い」状態の間は、何らかのダメージを受けると即死してしまいますが、
プレイヤーの頭上にカウンターが表示されており、その数だけ敵を倒すことで呪いを解くことができます。

もちろん、その宝箱を開けるかどうかは任意です。腕に自信がないなら、開かない方がいい。
これもリスクリターンですね。

大連鎖を狙う(ぷよぷよ

ぷよぷよeスポーツ』(2018)

リスクリターンは、いろんなジャンルの、思いもよらないところに潜んでいるものです。
そして、落ちものパズルの「ぷよぷよ」も例外ではありません。

ぷよぷよでは、大連鎖になるほど、敵におじゃまぷよを送ることができます。
大連鎖を狙おうとするほど、高くぷよを積む必要がありますが、それはゲームオーバーになりやすいというリスクを冒していることでもあります。
大きなリターンを得るために、リスクを冒している。もちろん、「任意」で。
なので、これもリスクリターンだと考えれます。

「リスクリターン」の効果

「リスクリターンを作れば楽しくなる!」といってしまってもいいのですが、「なぜリスクリターンを作れば楽しくなるか」というところまで考えてみましょう。

私は、「リスクリターン」によって次のような効果が生まれ、楽しくなると考えました。

  • 遊び手の意志でリスクに向かわせることで、「やられるかも」という予測をさせやすくなり、緊張感が高まりやすい
  • 成功時、リスクが消えることで、それ自体が気持ちいい(緊張が緩和される気持ちよさ?)
  • (失敗と成功で差が激しいため、)「コントラスト」も生まれる

特に「緊張感」が生まれるというのが、最も注目すべき効果でしょう。
これにより、リスクリターンがあるだけで、ゲームは面白くなっていきます。

また、前回の記事でも少し触れましたが、リスクリターンは「コントラスト」も作ってくれます。

余談①:リスクリターンが適用しやすいゲーム・適用しづらいゲーム


※少し長い余談が2つ続きます。書きすぎました。読み飛ばしてもらっても結構です。


前述の通り、「自分の意志で挑んでいる」と思わせることが、リスクリターンでは大事なんですが、

そう思わせるためには、
「その任意の挑戦をしなくても、クリアできた(その目標を達成できた)かもしれない」
と思わせることが重要なのではないかと思っています。

なぜなら、
そう思えないと、
「任意で挑む」
というより、
「絶対に(強制的に)挑まなきゃいけないもの」
という意識になってしまうからです。

以上のことが正しいとすると、
リスクリターンが適用しやすいゲーム・適用しづらいゲーム
が見えてきます。

高難易度で、状況が毎回固定のゲーム

クリアを目指すだけでも高難易度で、状況が毎回固定のゲーム。
例えば、ダークソウルやCelesteのようなゲームです。

DARK SOULS III』(2016)

このようなゲームでは、リスクリターンは適用しづらい(適用しても、効果が薄まりやすい)ように思えます。

それは、次のような理由のためです。

  • 高難易度であるため、もともとリスクリターンの行動を取ることがクリアするための前提となりやすく、「任意」ではなく「強制的に」その行動を強いられている意識になりやすいから

もちろん、上手くデザインすれば、「任意」で挑ませていると意識させることもできるかもしれません。
(高難易度とはいえ、全てのリスクリターンの行動がとれなくてもクリアできるぐらいのゆとりを持たせておくとか)
しかし、基本的には、リスクリターンを適用しづらいゲームでしょう。

(高難易度の)ローグライクゲーム

一方で、
高難易度でも、状況が固定じゃないローグライクのようなゲームでは、運要素によるバラつきがあり、リスクを冒さなくてもクリアできる可能性もあると期待するからか、「任意で挑んでいる」という感覚が強まりやすい気がします。

つまり、リスクリターンを適用しやすい。

クリアが簡単なゲーム

では、クリアが簡単なゲームではどうでしょう?
結論から言うと、ダークソウルのようなゲームよりも、クリアが簡単なゲームの方が適用しやすいように思えます。

クリアが簡単なゲーム(または、中難易度ぐらいのゲーム)は、言い換えると、(リスクを冒すまでもなく)クリアできてしまうようなゲームなので、何もしなければリスクリターンは適用しづらいです。
そこで有効なのが、
「クリアとは別に、リスクを冒すことで達成できる別の目標・動機を与える」
という方法です。

そして、その「別の目標・動機」で、次のどちらかを満たすことが重要。

  1. その目標を達成するためには、すべてのリスクリターンに挑戦しなくても達成できるぐらいのゆとりを持たせておく
  2. その目標・動機は、絶対に成功させなくてもいいようなもの

①のように、ゆとりを持たせた方がいい理由としては、ダークソウルのようなゲームで適用しづらくなる理由と同じです。
つまり、ゆとりがないと、その目標達成のために、任意ではなく、強制的にその行動を取っているという意識になってしまう恐れがあるためです。

②は、①とは違うアプローチで、「まぁ、その目標・動機のことはいいや」と思えるものにする方法です。つまり、「絶対に目指さなくてもいい目標」にする。この場合は、ゆとりがなくてもいいです。
しかし、これは意外と難しいです。というのも、その目標を絶対に達成しなきゃいけないと思うかって、遊び手次第だからです。
強いて言うなら、「残るものがある」目標は、目指してもらいやすく、「その目標を絶対に達成しなきゃいけない」と思われやすい。
逆に、「残るものがない」目標は、(良くも悪くも)「まぁ、その目標・動機のことはいいや」と思われやすい。

※ちなみに、「残るものがある」に関しては、以前に記事を書きました。興味があればそちらもご覧ください。
wada-jun.hatenadiary.com

例えば、そのリスクを冒すことで、ちょっとした時間短縮ができる(だけ)というものは、後者になりがちですね。
スーパーマリオブラザーズ」のBダッシュは、これに当てはまるリスクリターンでしょう。

スーパーマリオブラザーズ』(1985)


「クリア自体が簡単なゲームで、リスクを冒すことで達成できるクリアとは別の目標・動機を与える」というこれらの方法は、ゲームが得意な人と得意じゃない人の両方を満足させることができるという点でもよいです。
これらの方法に欠点があるとしたら、単にクリアするだけで満足してしまう人には、リスクリターンの体験を与えることができないという点ですかね。

ゲームが得意な人と得意じゃない人の両方を満足させる別の方法

ついでなので、ゲームが得意な人と得意じゃない人の両方を満足させるゲームにするため話をもう1つ。
それは、「難しい挑戦をゲームクリア(エンディング)の進捗に関わる挑戦にするなら、それをゲームクリアのために必ず達成しないといけないものにはしないこと」です。
(つまり、それも「任意の挑戦」にするべきだということ。)

例えば、「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」では、「祠」というフィールドの各地に配置されているミニダンジョンのようなものがあり、そのダンジョンのをクリアすると「克服の証」というアイテムが手に入ります。そのアイテムはリンクの能力を強化するのに使えるので、祠の攻略はゲームクリア(エンディング)の進捗に関わっています。
しかし、すべての祠を攻略しなくても、ゲームクリア(エンディング)はできるので、祠での挑戦が難しいと思えば、諦めて、もっと易しい別の祠に向かってもいい作りになってます。

ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』(2017)

「それがクリアできないとそのゲームは詰む」という不安(ストレス)がなくなるのがいいですね。特に、エンディングまでが長いゲームでは、これは必須だといってもいいぐらい大事でしょう。

尚、挑戦に挑み始めたら、途中で諦めたくなくなることも多いですが、
その対策として、ある程度遊び手にスキルがあることを試すちょっとしたテストがその前にあり、それをクリアしたものにだけ難しい挑戦を与えるという方法がいいかもしれません。
(実際にあったかは確かではないですが、)祠の例でいうなら、「遊び手にスキルがないと到達できない場所に難しいチャレンジの祠を配置する」とかです。

(レベル上げという)作業によって突破できるようにする方法

「ゲームが得意な人と得意じゃない人の両方を満足させる方法」としては、
RPGなどであるような、「レベル上げという作業をすることで、強敵もゴリ押しで突破できるようになる」という手もあります。

ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』(2022)

この方法を採用する場合、そのレベル上げの作業自体が楽しいものになるようにしたいですね。
(そのレベル上げの作業が楽しすぎると、そっちばかりをやってしまい、強敵との対戦が手ごたえのないものになってしまうこともあるかもしれませんが。)

余談②:ゲームが苦手な人には難易度を下げるべきなのか?

ゲームが苦手な人もターゲットに含まるなら、上記のように、クリアまでの難易度を下げる(=クリアするのに必要な遊び手のスキルを下げる)のが一般的だと思います。

その方法もいいのですが、クリアまでの難易度が高いことは絶対にダメなのでしょうか?
(特に、ローグライクローグライクで簡単にクリアできてしまったら、醍醐味が失われてしまいますよね。)

私は、(特にローグライクでは)「難易度を遊び手に合わせること」はそこまで重要ではないと思っています。
(もちろん、あまりにも難易度が高すぎるのは問題だと思いますが)

「なかなかクリアできないけど、なぜか『いや、俺は(次こそは)クリアできるんだ!』といって遊び続けてしまう」
という経験をしたことはないですか?
こういうゲームって、この「達成を期待させ続ける」のが上手いゲームなんです。

遊び手が辞めてしまう原因は、
「難易度が高いから」
というより、
「達成できると期待させる続けることが上手くいってないから」
ではないかと思ってます。
(つまり、「達成できると期待させる続けるためにできることをやってないから」ではないかと。)

私が好きな「Nuclear Throne」というゲームは、「ふざけるな!!」と思ってしまうぐらい難しいのですが、なぜか、ずっとやってしまうのです。

『Nuclear Throne』(2015)

尚、この「達成できると期待させる」は3つ目の心得でもあります。そのために何をすればいいかについては次回で詳しく解説します。

自分のゲームではどのように「リスクリターン」を適用したか

それでは、「Rebel -反逆のゴブリン-」という私が以前に作成したローグライクゲームで、これらをどこに適用したかについて簡単に紹介します。

①「改造」「ドーピング」「背水の陣」などの、体力を消費する代わりに大幅に強化するコマンド

例えば、「改造」というコマンドは、
「HPを2減らし、『弾の威力』と『連射速度』を上げる。」
というもの。

また、(気づいてもらえていなかったかもしれませんが、)これらのコマンドを使っても、HPが0にはなりません。
なので、HP1のまま、「改造」「ドーピング」などのコマンドを選択し続けるという、ハイリスクハイリターンのプレイも可能です。

②敵の経験値は時間経過で消える

これも「リスクリターン」を意図してそのような仕様にしました。
経験値が時間経過で消えるようにすることで、リスクを冒してでも敵を早く倒そう・近づこうとしてもらう事が狙いです。

しかし、「経験値が時間経過で消える」ということが気づきにくかったようで、これはあまり上手くいってなかったかもしれませんね。



リスクリターンに関しては以上です。
第3回の記事に続きます。
↓↓↓
次の記事

ローグライクゲームを面白くするための3つの心得 1/3

ローグライクゲームを面白くするための3つの心得 目次


3か月ほど前のことですが、
「Rebel -反逆のゴブリン-」というローグライク系のゲームをUnityRoomで公開しました。


Rebel -反逆のゴブリン- | フリーゲーム投稿サイト unityroom

予想以上に多くの人に遊んでもらえ、「楽しさ」では割と高い評価を頂きました。
(2023年3月25日時点で、ページへのアクセス数が23886。「楽しさ」の評価では、5点満点中4.396点。)



そんなこともあってか、このゲームの開発で得た知見・意識したことを共有したいと思い、
今回は、ローグライクゲームを考える際に心掛けている3つのことについての解説と、それをどのように自分のゲームに適用したかについて書いてみようと思います。

いろいろ詰め込んだら結構長くなってしまったため、3回に分けて解説していきます。
1回目のこの記事では、 「コントラスト」について解説します。

*尚、ローグライクゲームを前提に話していきますが、ローグライク以外のゲームでも適用できる話はあるかと思いますので、違うジャンルのゲームに興味がある人にも読んでもらえたらと思います。

そもそもローグライクとは

本題に入る前に、ここで言う「ローグライク」の範囲をどこまで指すかをはっきりさせてください。

狭義では、ローグライクというと「不思議のダンジョンシリーズ」のようなゲームだけを指すこともあるかと思います。

トルネコの大冒険 不思議のダンジョン』(1993)

しかし、
ここでは、もっと広く捉え、

  • 敵や地形がランダム生成
  • パーマデス(恒久的な死) ※つまり、死んだら最初の状態に戻るというルール

といった要素を含んでいるものは全てローグライクとします。

『Dead Cells』(2018)


それでは、本題に入ります。
結論から言うと、3つの心得とは、以下の通りです。

  1. コントラスト」をつける
  2. 「リスクリターン」の機会を与える
  3. 「達成できると期待させる」ためのあれこれ

それぞれ詳しく解説していきます。


心得①:「コントラスト」をつける

コントラスト」とは

コントラスト」とは、日本語にすると「対比」「対照」「著しい差異」といった意味です。
対になる言葉は、「グラデーション」でしょうか。

コントラストをつけるとは、どういうことかというと、

ではなく、

とすることです。

グラデーションではなく、コントラストにするのです。
「ドンッ!」と一気に変化を与える感じ。

あらゆるところにコントラストは作れる

コントラストはあらゆるところに作ることができます。
具体的には、次のような箇所です。

  • (目に見えて分かる)プレイヤーの強化
  • 進捗
  • 与えるダメージ
  • 運によるバラつき
  • BGM ※穏やかなBGMを続けた後、一気に激しいBGMに変えるとか
  • SE
  • 景色
  • 演出
  • フィードバック

などなど

具体例

まだピンと来ないかと思いますので、「コントラスト」の具体例を3つほど紹介します。

レベルアップによる強化(Vampire Survivors)

『Vampire Survivors』(2022)

説明するまでもないかと思いますが、「レベルアップ」は、敵を倒したときなどに手に入る「経験値」が一定数溜まると、レベルアップし、プレイヤーの能力値が一気に上昇するという仕組みのことです。
これにより、「プレイヤーの強化」にコントラストがつきます。

もし、レベルアップという仕組みがないと、プレイヤーの能力値は緩やかに上がっていくことになります。
そうすると、遊び手は、プレイヤーが強くなっていることに気づきにくくなってしまい、退屈なゲームになってしまうでしょう。

※尚、この記事では、「プレイヤー」を「ゲーム内のプレイヤーキャラクター」の意味で、「遊び手」を「ゲームを操作している実際の人間」の意味で使っています。

武器による強化

また、「武器による強化」という場合もありますが、これもほとんど同じで、「プレイヤーの強化」にコントラストがつきます。

『Dead Cells』(2018)

(一時的な)パワーアップ(パックマン

パックマン』(1980)

レベルアップとも似ていますが、このような「パワーアップ」にもコントラストはついています。
「必殺技」なども、これの一種だと考えていいでしょう。

会心の一撃ドラゴンクエスト

ドラゴンクエスト』(1986)

ゲームによっては「クリティカルヒット」ともいいますが、
敵に攻撃する際、低確率で、通常よりも高い威力になるというものです。
これにより、「敵へのダメージ」にコントラストがついていますね。

また、ヒット時のSEも通常のものと違うため、SEにもコントラストがついているとも言えるかもしれません。

じゃあこれは?

もう1つだけ例を挙げてみます。

Bダッシュスーパーマリオブラザーズ

スーパーマリオブラザーズ』(1985)

言うまでもないと思いますが、Bボタンを押しながら移動すれば、高速で移動できる(ダッシュできる)というものです。
Bダッシュを使うことで、画面が高速でスクロールし制御もしづらくなるので、ミスしやすくもなりますが、
上手くいけば、早くクリアできます。
ミスしてしまった場合と、ミスすることなく早くクリアできた場合で大きな差がありますよね。そのため、コントラストが生まれるわけです。

このような「(遊び手の意志で)リスクに向かってリターンを得る挑戦」のことを「リスクリターン」と呼びます。
「リスクリターン」は、「コントラスト」をつけるための強力な手段の1つなのです。
この「リスクリターン」は2つ目の心得でもありますので、次回で詳しく解説します。

コントラスト」の効果

なぜコントラストが大事なのか。
それは、コントラストをつけることで次のような効果が生まれるためです。

  • 「スリル」(=ぞくぞくするような快感)が生じる


更に、コントラストによっては、次のような効果も生まれることがあります。

  • 難易度にコントラストをつけることで、失敗の原因が分かりやすくなる
  • 運によるバラつきのコントラストをつける(=たまに幸運が訪れるようにする)ことで、次は達成できると期待させやすくなる
  • 強化、進捗にコントラストをつけることで、「今回は達成できるかも!」という期待が生じる

が、とりあえずは、「コントラスト」には共通して『「スリル」(=ぞくぞくするような快感)が生じる』という効果があるということだけ覚えておいてもらえればと思います。

余談:「コントラスト」はエンターテインメントの基本?

ゲームに限らず、エンターテインメントの多くは、驚いたり、ゾクゾクすることで感じる「スリル」(=ぞくぞくするような快感)で構成されているように私は思うのですが、
その「スリル」を体験させるための最も強力で一般的な方法が、この「コントラストをつける」という方法でしょう。

物語で「どんでん返し」と呼ばれるものも、お笑いで「フリとオチ」と呼ばれるものも、この「コントラスト」と本質的には同じで、
いずれも「ある流れを学習・予測させた後、突然その予測を裏切る(コントラストのついた)結果を与える」というものではないかと私は思っています。

コントラストをより効果的にするために

ただコントラストを作るだけだと、効果が薄いこともあります。
コントラストの効果が高めるには、次のようなことを意識したいです。

コントラストにバリエーションを持たせる

同じコントラストが続くと、遊んでいる人は最初のコントラストの変化に目が慣れてきてしまい、効果が薄れてしまいます。
それを防ぐためには、「コントラストにバリエーションを持たせる」という方法が有効です。
(特に、強化のコントラスト?)

例えば、Vampire Survivorsでは、強化のバリエーションが豊富です。

プレイするたびに強化の種類が変わることが多いので、なかなか目が慣れず、新鮮さが長続きしているように感じます。

コントラストの中に、更にコントラストを付ける

またしてもVampire Survivorsを例に挙げますが、
強力な敵を倒したりすることで、宝箱がドロップすることがあり、その中からは通常「1つ」の強化アイテムが手に入ります。

一気に強化されるため、これだけでもコントラストはついているのですが、
低確率で「3つ」や「5つ」の強化アイテムがでてくることもあります。

このように、「コントラストの中に、更にコントラストを付ける」ことで、最初の「体験しやすいコントラスト」に目が慣れても、次の「滅多に体験できないコントラスト」があることで、遊び手は後者のコントラストを期待してプレイし続けてくれるでしょう。
前者の「体験しやすいコントラスト」は、遊んですぐに得られるので、まずこれで遊び手の心をつかみ、
後者の「滅多に体験できないコントラスト」で、遊び手に長く遊び続けてもらう
といった役割の違いがあるように思えます。


特に、ゲームの中盤~終盤で、「滅多に体験できないコントラスト」を与えるのがいいですね。
(これについては、次で解説します。)

コントラストを付ける前の状態を、ある程度続ける

製作者によってデザインされたフリ

(余談でも少し話しましたが、)「ある流れを学習・予測させた後、突然その予測を裏切る(コントラストのついた)結果を与える」ということができたときに、「スリル」の気持ちよさを起こすことができます。
そのためには、コントラストを与える前の状態を十分に遊び手に記憶させておくことが大事になります。
つまり、お笑いで言うところの「フリ」が必要。
パワーアップさせるなら、その前に、パワーアップする前の状態である程度プレイさせることが重要。ゲーム開始してすぐにパワーアップしても、「フリ」がないので面白くならないのです。

せっかくなので、今回もVampire Survivorsを例に挙げて考えてみます。
このゲーム(のステージ1)では、最初の3分間は「宝箱を落とす敵」は出現しません。

3分を過ぎると、「宝箱を落とす敵」の1匹目が登場します。

そして、中盤~終盤には、その数も増えていきます。

また、このように、序盤よりも中盤~終盤ほど影響を大きくしてあげることは、
「(ソシャゲのリセマラのように)運がいい結果が来るまで、何度も序盤を繰り返すというのが最適解になってしまう」というのを防ぐことにも繋がります。

乱数によって作り出されるフリ

尚、この「フリ」を作る方法だが、単に「低確率にする」という方法でも作れます。
例えば、さっきの、宝箱から低確率で「3つ」や「5つ」の強化アイテムが出ることがあるというのがそれです。

多くの遊び手は、「1つの強化アイテム」を体験した後、「3つ・5つの強化アイテム」を体験するため、乱数が自動的に「フリ」を作ってくれるわけです。

前者は「製作者によってデザインされたフリ」、後者は「乱数によって作り出されるフリ」とでも呼ぶことにします。

後者のデメリットとしては、運が悪いと(運がいいと?)、最初から「3つ・5つの強化アイテム」という低確率の方が出てしまう可能性があることです。「フリ」のまえに「オチ」を見せてしまうようなことになり、面白さが半減してしまいます。
じゃあどっちにすればいいのか。
個人的には、Vampire Survivorsの「終盤ほど宝箱が出やすい+乱数による低確率」というように、「製作者によってデザインされたフリ」と「乱数によって作り出されるフリ」のハイブリッドのようにするのが最もいいのではないかと思います。

コントラストを一か所にまとめる

例えば、何のゲームで考えてもらってもいいのですが、「ボス戦」です。
ボス戦という中で、次のようにコントラストが集まっていることが多いです。

  • BGMが(カッコいいものに)変わる(=BGMのコントラスト)
  • 敵の強さが一気に上がる(=難易度のコントラスト)
  • 今まで見たことのないような攻撃・演出がある
  • ボスを倒すと、大量の経験値が貰える

など

『Undertale』(2015)

このように、コントラストを一か所にまとめることで、相手に与える衝撃(スリル)を最大化することができます。

更に言うと、ゲームの最終盤辺りにそのピークを持っていくのがいいです。
遊び手がゲームを遊び終えた後、その気持ちよかった体験が記憶に残りやすくなり、
そうすれば、そのゲームの評価が高くなることにも繋がりますからね。

自分のゲームではどのように「コントラスト」を適用したか

これから、「これらをどのように自分のゲームに適用したか」について話していくのですが・・・
もしお時間があれば、一度遊んでみてから読んでもらえると話が入って来やすくなると思います。
10分ぐらい遊べば、大体どんなゲームか分かってもらえるかと思います。
パソコンで遊べます。ブラウザ上で遊べるので、インストール不要。(スマホでは遊べません。)

unityroom.com



では、この「コントラスト」を具体的にどのように自分のゲームに適用したかについて話していきます。

①強化で伸ばせる5つの能力

これは、「プレイヤーの強化」のコントラストですね。

また、
先ほど紹介した「コントラストにバリエーションを持たせる」に従って、
レベルアップしたときに伸ばせる能力には以下の5つのバリエーションを持たせました。

  • 弾の威力
  • 連射速度
  • 移動速度
  • 射程
  • 武器の数

毎回、「弾の威力だけが上がる」だけだと、その変化に目が慣れてしまいますが、
「今回は弾の威力と連射速度が上がった」「今回は移動速度と射程が上がった」「今回は連射速度だけがすごく上がった」など、同じ強化なんですが、毎回変わり方は違うので、ある程度、新鮮さを維持できたのではないかなぁと思っております。

②稀に出現する強力な強化のコマンド

レベルアップしたときの強化のコマンドの中でも、コントラストをつけています。

強化のコマンドは、全てで13種類あるのですが、それぞれグレードが設定されています。

普通:「パワーアップ」「テンポアップ」「フォーカス」「ストレッチ」「食事」「仮眠」
レア:「改造」「ドーピング」「背伸び」「快眠」「お祈り」
超レア:「複製」「背水の陣」

抽選される確率は、
普通>レア>超レア
となっています。

これにより、「普通のコマンド」に目が慣れても、「レア・超レアのコマンド」があることで、遊び手は後者のコントラストを期待してプレイし続けたくなったのではないかと思います。

③稀に出現するキングゴブリン

キングゴブリンは、ドラゴンクエストメタルスライムのように、倒すと多くの経験値を落とす「美味しい敵」です。

また、遊んでて、肌感覚で気づいたかと思うのですが、序盤ではキングゴブリンは出現しません。
先ほど紹介した「コントラストを付ける前の状態を、ある程度続ける」に従っています。

更に、終盤ほどキングゴブリンが出たときの数を多くし、中盤~終盤ほど影響が大きくなるようにしています。

④マグマのゾーンで難易度を大きく上げる

難易度にコントラストをつけています。
失敗の原因が分かりやすくなる効果も生まれているかと思います。

⑤最終ゾーンにコントラストを集める

先ほど紹介した「コントラストを一か所にまとめる」に従って、
最終ゾーンで、次のようなコントラストをまとめて与えています。

  • 新しい種類の敵を一気に増やす
  • 2つ前のゾーンから物静かなBGMを続け、最終ゾーンで激しくてカッコいいBGMに変える
  • 2つ前のゾーンから洞窟のようなタイルの背景を続け、最終ゾーンでダンジョンのようなタイルの背景に変える

最終ゾーンに到達した瞬間に、少しでも「ゾクゾク」と感じて貰えていれば狙い通りなのですが、いかがでしたでしょうか。



細かいものも含めると、もう少しあるかとは思いますが、とりあえず5つの適用箇所を紹介してみました。
さて、次は「リスクリターン」の解説です。
↓↓↓
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「残るもの」があった方が嬉しい

ゼルダの伝説ミニゲームで、とても苦労してクリアした結果、貰った報酬が「50ルピー」だったときは、ガッカリしました。

プレイヤーの頑張り・苦労は、何らかの形で残るようにしてあげた方が、モチベーションは上がるものです。
そのための手段しては、次のようなものがあります。

  • ハイスコア
  • 評価
  • 達成率
  • 実績/トロフィー
  • クリア状況/図鑑
  • それでしか手に入らないアイテム/パワーアップ/仲間
  • 「人に話したくなる体験」が残る

ハイスコア

グラディウス』(1985)

ビデオゲームの黎明期からある手法ですね。

そのゲーム内にスコアの概念があり、過去のプレイの内、最も高かったスコアをハイスコアとして記録しておくというものです。
ハイスコアは、他人のスコアとの比較ができる状況で真価を発揮するものだと思います。そのため、家庭用ゲーム機なら、友達などと競い合う環境があったほうが楽しいですね。また、アーケードゲームの場合は、自然と競う相手が集うようになっているので、アーケードゲームとの相性は抜群です。

評価

デビルメイクライ3』(2005)

プレイヤーのプレイの出来を、何らかの基準で評価し、それを残すという方法です。
ハイスコアにも近いし、セットになっていることも多いです。

1つのステージごとに評価するのが一般的ですが、ゲーム全体で評価することも可能です。
(後者は、ゲーム全体が比較的短い場合で適応しやすい?)

メトロイド』(1986) クリアにかかった時間によってエンディングが変化する

達成率

星のカービィ スーパーデラックス』(1996)

ゲームの進捗状況をパーセントで表示したものです。
クリアまでの進捗状況よりも、やりこみ要素を含めた進捗状況にする場合が多いですかね。

メトロイドヴァニアの「通ったことのある場所が表示されるマップ」も、これに含めることができそうです。

スーパーメトロイド』(1994)

実績/トロフィー

『Cuphead』(2017)

これは、ゲーム内で実装するよりも、プラットフォームの層で既に実績システムが用意されていることが多いかと思います。
そのため、比較的容易に実装できるし、いろんな箇所に適応しやすいです。

また、その人のプロフィール画面から、その人の実績/トロフィーの状況を確認できる場合が多いですが、これも良いですね。
(残るものは、他人に見てもらえると期待してこそ効果を発揮するものですから)

クリア状況/図鑑

『Pokémon LEGENDS アルセウス』(2022)

「クリア状況」や「図鑑」という形で残す方法です。
サブクエストの状況をメニューから確認できるようにするとか、戦闘した敵の情報が図鑑に残るようにするとかですね。

*サブクエストなどの場合、クリア状況が埋まるだけだと寂しいので、それに加えて、↓の手段も取り入れた方が良さげ

それでしか手に入らないアイテム/パワーアップ/仲間

ゼルダの伝説 時のオカリナ』(1998)

例えば、とある骨の折れるサブクエストの報酬としては、「50ルピー」よりも「あきビン(そのサブクエストでしか手に入らないアイテム)」の方が嬉しいものです。
「50ルピー」の場合は、他の場所でも手に入るため、その(骨の折れる)サブクエストをクリアした証明にはならないが、「あきビン」は、そこでしか手に入らないため、クリアした証明になるからです。
(正確には、他の場所でも手に入るが、ゲーム内で数が有限なので、そのサブクエストでクリアすることには意味があったと思える。)

「人に話したくなる体験」が残る

ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』(2000)

これは、ゲームに残るものというより、プレイヤーの記憶に残るもの、ですね。
そのため、そのことで誰かと話をすることを期待できてやっと効果があります。

(これに限ったことではないですが)そのゲームをやっている人が周りにいることが大事です。

また、人に話したくなるような体験である必要があります。
例えば、
・感動的なストーリー
・(極端に)苦労させられる体験
・他では体験できないような体験
など

平たく言うと、「苦労させた後には、感動的なストーリーを見せてやれ」です。
エンディングはもちろん、サブクエストなどでも適応できるでしょう。

まとめ

・プレイヤーの頑張り・苦労は、何らかの形で残るようにしてあげた方が、モチベーションは上がる
・そのための手段しては、次のようなものがある
 ・ハイスコア
 ・評価
 ・達成率
 ・実績/トロフィー
 ・クリア状況/図鑑
 ・それでしか手に入らないアイテム/パワーアップ/仲間
 ・「人に話したくなる体験」が残る

ポケモンSVがオープンワールドになって何が変わったか

ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』では、ついにポケモンオープンワールドになりました。

しかし、次のような声をよく耳にします。
「楽しいんだけど、これってオープンワールドにした意味ある?」

ポケモンオープンワールドにした意味はなかったのでしょうか?
このことについて自分なりに考えてみました。

攻略のルートは同じになりがち

クリアするまでに訪れる町の順番などは、皆似たような結果になりがちです。
それには、次のような原因があります。

  • 遠い場所ほど、「野生のポケモン」及び「トレーナーのポケモン」のレベルも高いので、皆近いところから探索しがちになるため。
  • ヌシ(レジェンドルート)を進めないと、川を渡ったり、山を登ったりすることができず、それができないと進めない場所もあるため。

たしかに、「攻略のルートが自由になった」とはいえないようです。
しかし、オープンワールドになったからこそ生まれた大きなメリットもあるようです。

それは、
「気が済むまで、新しいポケモンを求めて未知の場所へ進んでいきたい」という欲求を止められることがなくなった
という点です。

気が済むまでできるようになったポケモン探し

筆者は一応ポケモンを第1世代から第8世代まで、クリアまでプレイしてきましたが、ポケモンを遊んでいて最も楽しいと感じるのは「未知の場所へ行って、未知のポケモンを探している時」です。

しかし、従来までのポケモンでは、この「ポケモン探し」をもっと続けたいのに、次のフィールドに進むために、トレーナーとの戦闘やジムへの挑戦を強いられることが時折ありました。

ポケットモンスター 赤・緑』(1996)

一方で、今作のポケモンSVでは、トレーナーの戦闘はもちろん、ジムやヌシに挑むのも任意です。
(正確には、「任意のタイミング」でしょうか。)

なので、「まだポケモン探しを続けたい気分なんだ!」というときは、それを続けることが許されます。

プレイヤーの好きなタイミングでできるようになった「気晴らし」

もちろん、この「ポケモン探し」だけやっていても、同じ体験が続き、飽きてしまうものです。

その「気晴らし」として、別の遊びも用意されています。

  • ジムに挑戦
  • トレーナーとの対戦
  • レイドバトル
  • ヌシを倒しに行く
  • スター団攻略
  • 町を観光
  • キャンプでポケモンと戯れる

など

「ジム」や「トレーナーとの対戦」などの気晴らしは、従来のポケモンでもあったわけですが、従来までのポケモンとの違いは、任意のタイミングで「気晴らし」を行うことができるようになったという点です。

従来までは、新しい町に着いたら、その町のジムに挑戦しないと次に進めないということがよくあったのですが、今作は後回しにして、もう少し「ポケモン探し」を続けてもいいのです。
そして、「ポケモン探しに飽きてきたら、気晴らしにジムに挑んだり、トレーナーと対戦したりする」といったように、自分で体験を調整できるのです。

たしかに、攻略のルートの自由度は低いですが、
これらの点では、非常に自由度が高いと感じます。

まとめ

まとめると、オープンワールドになったポケモンSVの評価は以下のとおりです。

悪い点
・攻略のルートに自由度はあまりない

良い点
・気が済むまでポケモン探しが続けられるようになった
・同時に、気晴らしをするタイミングも自由に調整できるようになった